「脳味噌破裂」(春先不安神経症的作品)  ああ! 脳味噌がはじける 飛び散る 渦巻く ゴキブリだ 蜘蛛だ 畳の中から 腕が出てきて俺の頭を鷲掴みにする 引っ張り込まれて床へ 床下の闇へ 闇の中の騒音へ トラクターが踏みつける ダンプが踏みつける 世紀末の悪魔が踏みつける ああ脳味噌を踏みつける ぐちゃり…… ああ 飛沫が漂う 脳細胞がアメーバとなって漂う 道路の脇の埃となって 車の排気ガスにまみれて 冷気に剥がされた街路樹の樹皮 が 腐って風に飛ばされていく そいつにべっとり張り付いたのは ヤニじゃあない俺の脳細胞だ ああ 拡散し限りなく薄められていく俺の脳味噌 白い車がつむじ風を起こし通り過ぎる 白い車のあのひとが 遠くの街へ 白い車のあの人が 私を誘う 突然あらわれた俺は奥村チヨだ ああ わたしはあなたの子犬ちゃん 右といわれりゃ右向いて とても幸せ…… 子犬ちゃん 目玉をひとつ 地面に落っことす 義眼のかわいい子犬ちゃんは うごかない 子犬ちゃん 白い車のつむじ風とともに ばらばらにほぐれて 子犬ちゃん 足がばらばら尻尾は彼方 胴はちぎれておびただしいスポンジが ばらばら ばらばら 飛ぶ 飛ぶ 飛んだ しゃぼん玉とんだ 僕の脳味噌は 果てしなく飛んで さまよって 風に乗って 拡散して 無数の僕となって 消えて しまった

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