「死神」   うららかな春の日ざしを浴びながら 三角公園は   子供たちと老人と鳩が   一本しかない桜の木の下で   公園の 道ひとつ隔てた喫茶店   桜の見える席で僕は君とコーヒーを飲む   お互いの本の世界にひたりながら   小説の1行にふと僕は海を想う   海神が死んだ海 血のたぎる海 腐臭漂う海  あらゆる疫病のもとがそこから村を襲うという   死せる神は虚構の岸辺を離れてよたよたと   いま僕らの午後に近づいたのだ   僕たちの生存の底にひそむ腐臭  生ゴミの袋は突然音もなくやぶれ散る  君の心の中の活断層   君の心の中のサリン   君の心の中のマグナム弾が   僕の心臓を重く貫抜き   喫茶店を狂気とともに破砕しそのままに   三角公園 叫び声 血の渦 爆裂 とぶ   銀河宇宙の彼方 異星に腕組みするあの男が   鉄より暗いまなざしをこちらに向けている   お前は知っているのだ この地球に   (二十一世紀が来ないのを)

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