「影」 あなたは遠い星を歩いている 霧の中の揺れる影にすぎない 私は弓をとり海を見つめる あなたの視線を あなたとはるかむかし出会った 海草の揺らめきの中に探している くらげたちは 生きものの死骸のとなりから たちのぼる泡のように さまよい あらわれては消え 私は矢をつがえる あなたは海底の藻の蔭から 私と弓にまなこを走らせ 空中の一点を見据える (ほら、見えない小鳥だよ) 私は海に矢を放つそれは まっすぐな光の線となってあなたの 頭蓋を貫く そのとき 私も私の海も消えてしまってわたしは あなたは遠い星にいて 霧の中の揺れる影にすぎない

前へ 目次 次へ